セレクション: 「ガン」について

「ガン」について


前回(5月20日)の続きです。


 退院の日、担当の医者から初めて、『あと数ヶ月』と言われた。父親を見ていて、もう助からないだろうと思ってはいたが、医者から言われるとさすがに動揺したが、一方で数ヶ月あれば何かしてやれるだろうという思いもあった。

 次の日、いつものように学校へ行き、夕方の六時頃に帰った。ベッドで寝ている父親に『ただいま』と声を掛けると、『ご苦労さん』と、昨日より元気な声が返ってきた。

 医者の言葉を信じ、数ヶ月あればいろんなことができると考えていた。明日から土日を含む三連休で一日中家に居て父親の傍で世話をするつもりだった。

 七時過ぎに母親と二人で夕食を済ませ、リビングでテレビを見て寛いでから、しばらく自分の部屋で過ごし、十時過ぎに風呂に入った。風呂から出て、父親におやすみの挨拶をしようと部屋に入ると、ベッドの下にひいた布団で母親はウトウトしていた。母親に気を使いそっと父親の顔を覗き込むと、やけに頬が窪んでいた。おかしいと思い口元に手をやるとすでに息をしていなかった。

 母親を起こし、父親の様子がおかしいことを告げ、医者に電話をした。すぐに医者が来て点滴や注射をしたが息を吹き返すことはなかった。『残念ですが、ご臨終です』夜中の十二時少し前の出来事だった。

※小説【歌ってよ!愛の唄】よりhttp://iozawa130030.web.fc2.com/
タグ:ガン 小説
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この記事へのコメント
ブログを始めました。現在、数稽古、修行中です。いろいろなブログを訪問して勉強中です。参考になりました。ありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。
Posted by ツイてる! at 2009年05月25日 21:33
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